「慶太の姉ちゃん?」
「ああ。好きなんだって、姉貴のこと」
「へえー。まぁ、確かに美人だしな、慶太の姉ちゃん」
中岡は、ひとりで納得したようにうんうんと頷いている。
「性格は最悪だけどな」
「そうかあ?俺は、慶太の姉ちゃんになら蹴られても縛られても良いけど」
「気持ちわりぃこと言うなって」
姉の美貴が美人だということについては否定しない。見た目が整っているからといって、それは両親の遺伝子の賜なのであって美貴が偉いという訳では決してない。
それに加えて姉は美人だが性格にまったくといっていいほど可愛げがない。
美人と言われる女子より可愛いと言われる女子のほうが遥かにハイレベルだと思う男は、俺だけじゃないと思う。
昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。口の中のコロッケパンの味をコーヒー牛乳で洗い流すように飲み込んだ。