「みんなが写真送ってきたからさ、一緒に記事考えてよ」

俺の言葉にぎこちない感じで頷く壷井さん。

「そっち行っていい?」

壷井さんの前の席、まだ昼休み中だから空いているその席を指さして俺が言うと、壷井さんはまたぎこちなく頷いた。その姿がなんだかロボットみたいでちょっと笑ってしまう俺。

壷井さんと机を挟んで向かい合う。後ろ向きに椅子に座った俺が自分のスマホの画面を見せながら、「この写真はこの写真と場所かぶってるから、どっちか一枚でいいよな」とか、「これはほぼ人物しか写ってないから記事にはなんないよな」とか、「これなんかうまく撮れてるし、いい記事書けそうじゃん」なんて言って壷井さんに意見を求めると、壷井さんは「うん」とか、「そうだね」なんて相槌をうつ。

言葉数は少ないけど、一枚一枚、真剣な顔で写真を眺めながら、時々「これ、使ったらいいと思う」なんていい反応をくれるときもあったりするから、きっと嫌がられてはいないんだろうと思う。

言葉数は少ないけど頭のいいリーダーと、文章力がないからサポート役に徹している俺の組み合わせは意外と悪いもんでもなくて、短いけど的確な返事をくれる壷井さんとのやり取りはかなりスムーズに進んだ。

「この記事は、こんな感じでどうかな」

ぼんやりとした俺の意見を伝えると、壷井さんはメモを取りながらそれを上手く形にしていってくれる。昼休みの終わるチャイムが鳴ってもまだ記事にしたい写真は残っていたから、「壷井さん、放課後時間ある?」と聞いた。今日はバイトが休みだから、この続きを終わらせてしまえたらいいなと思ったのだ。