話し合いは相変わらず平行線だった。

リーダーの壷井さんはほとんど喋らない。無理矢理リーダーにされちゃったんだから仕方ないといえば仕方ないけど、もうちょっと自分の意見を言ったっていいじゃんと思ってしまう。仮にもリーダーな訳だし。

「記事の内容ぜんぜん決まってないじゃん」

昼休みにグループのメンバーを集めたのはちょっと気の強い女子で、そいつがちょっと偉そうに言った。
お前だってなんも考えてきてないじゃん、と言いそうになるのをぐっと堪えていると、同じ輪の中にいる中岡から携帯にメッセージが届く。

〈えらそーーー女子こえーーー〉

周りに見られたらどうすんだよバカ。
携帯をポケットにしまいこんでから、中岡をぎろりと睨みつけておく。

七瀬さんの取り巻きの女子のひとりがなんだか優しそうな顔をして、壷井さんを気遣うような感じで言った。

「だってみんな意見出してくれないもん。ね?壷井さん」

壷井さんは頷かない。

ただ黙ってるわけでも無視してるって訳でもなくて、壷井さんはきっと理由があるから黙ってる。と、俺は勝手に思っている。

「全員で集まって作るような時間も場所もないんだから、とりあえず中身ちゃちゃっと決めてあとはリーダーに任せるってのは?」

とくに秀才でもなく運動部に入っているから忙しいって訳でもない男子がいかにも賢そうな意見を言ったけど、結局はそれも壷井さんに丸投げするってことだ。だけどみんな、そのいかにも賢そうな意見に賛同するみたいにうんうんと頷いている。

沈黙を貫いているリーダーがあまりにもかわいそうになって、気づけば俺は手を挙げる真似をしてみんなに向かって言っていた。

「俺、サブリーダーやりまーす」