今になって思うと、俺が過去に好きになった女の子はみんな、ただ単純に見た目が可愛いだけ、だったような気がする。
例えば七瀬さんみたいにクラスで一番可愛い女子とか、中学の時はたまたま告白してきた後輩の可愛い女子とか、あとはみんなが騒いじゃうような保健室の美人の先生とか。
一緒に歩いていて自慢できそうな女子とか、いかにも女子っぽい、可愛い髪形とか制服の着こなしとか、そういうところが決め手になっていたと思う。
だから森田のメッセージを読んで、シンプルに「すげえ」と思った。堂々と、「中身が好き」って言えるような恋愛を、俺はしたことがなかったと思ったからだ。
だってしょせんは見た目が九割、いや、もしかしたら十割かも。そんな風にしか誰かを好きになったことがなかったし、皆そんなもんだと思っていたから。
七瀬さんのこともそうだ。
「なんか違う」って思ってはいるのに、どこかで「だけど可愛いし、ナンバーワンだし、逃すのはちょっと勿体ない」って思っている自分がいて、「付き合ったらカッコいいしちょっと自慢だし」なんて考えちゃってる俺。
それに比べたら、学校のスターのくせして姉貴なんかを好きになって、告白して振られても振られても、わざわざ弟の俺にまでカッコ悪いとこ見せて頼み込んで、卒業までに姉貴を振り向かせてやるって思ってる森田のほうが、よっぽどカッコいいじゃんなんて思えてくる。


