「模造紙は何枚使ってもいいぞー。一枚でもいいし十枚でもいいぞー。社会科の評価に入れるから真面目にやるように!一番良かったグループにはご褒美もあるぞー」
ざわつくみんなにむかってタケノコが声を大にしていった。みんなは「えー!」とか「成績に入れるとかひでー」
なんて騒いでいる。「ご褒美ってなんすかー?」と誰かが聞くと、「それは秘密だな」とタケノコはニヤリと笑って見せた。みんなにいじられながらも、タケノコのこういうところは嫌いじゃない。
社会科の成績に入ると聞いて、余計にみんなの顔つきが険しくなる。グループの壁新聞が個人の評価に加点されてしまうと、適当にーなんて言ってられない。
二列ごとに分けられたグループの中で、既にリーダー的な男子が「とりあえず全員ID交換なー。放課後集合」なんて言い出していたりする。
「俺部活あるし無理」なんて言う奴もいるけど「じゃあ部活あるやつは各自、家で最低いっこは新聞にする記事考えてくることー」なんてノルマまで発生し始めた。
俺は振り返って、自分のグループになった列のメンバーをチェックする。中岡は俺の前の席だから、同じグループ。だけど中岡はバカだから、こういうときはまるで頼りにならない。
俺の隣の列の最後尾の七瀬さんは、同じグループ。振り返った俺と目が合って、にこっと笑う。昨日のことはもうなんとも思っていないのか、ほっとしたような複雑な気持ちになった。


