僕の知らない、いつかの君へ



次の日、最近では当たり前になった彼女との帰り道。

大抵は学校の最寄り駅まで俺が菜々子を送って行く間、駅までの道沿いにある小さな公園で、ジュースを買ってベンチに座ってちょっと休憩するのが定番だ。

昨日読んだ日記のことが頭から離れない俺は、いつものようにほんのり幸せそうな微笑みをたたえて他愛ない事を話す彼女に、内心苛立っていた。

「慶太くん、ジュース何にする?スコール?」

いつものように、公園のそばの自販機の前で立ち止まる菜々子。
近々別れようと思ってる、なんてまるで感じさせない普通の顔で、そんなことを聞いてくる彼女になんだか腹が立つ。

「ああ、いいよ俺は」

素っ気なく返す俺に彼女は「そっか」と、何かを察したように自分もジュースを買うのを辞めてしまう。
結局自販機の前を素通りして、公園にも立ち寄ることはしなかった。

ちょっとがっかりしたような顔で彼女は俺の隣を歩いている。
聞きたいことは山ほどあった。

俺と別れるつもりなのか?

だとしたら理由はなんなのか。

別れるつもりでいるくせに、なんでそんな風に普通に幸せそうな顔して俺の隣にいられるのか。