ーーー 中学二年の春。 僕は引き取られた親戚の家で最初の刃物を突きつけられた。 それは意図したものではなかった。 でも確かに僕には凶器だった。 「朔くんはいつまで塞ぎ込んでるつもりかしら」 「まあ、辛いんだろ。もうしばらくいいじゃないか」 「あなたは家にいないからそんなことが言えるのよ。 あの子と毎日顔を合わす私の身にもなってよね。 毎日毎日死んだ目でいるのよ。 口だって全くきかないし。 私の頭がおかしくなりそうだわ」