「笑わないよ」 「じゃあ特別に教えてあげる! お兄ちゃんこっちきて?」 僕は導かれるままに、さっきまでハナが空を見上げていた場所へと移動する。 「ここ、ここから上を見てみて」 ハナの言葉に従って、さっきまでハナがしていたように上を見上げる。 木で覆い隠されているはずのその場所に、ここからだと円形に切り取られた空が顔を覗かせていた。 「この場所から、もしも虹が見えたら。 神様はお願いごとを叶えてくれるかもって思わない?」