朔はどうしてこんなに柔らかく微笑むのだろう。

私はどうして朔の言う時間を思い出せないのだろう。

今日、巡って来た場所を一通り思い出してみる。

どこも知ってる場所だしはっきり思い出せる。

だけど、やっぱりどうしても朔との時間だけは思い出せない。

バス停、電柱、シュガー、カラオケ。

朔はどこもハナとの思い出の場所と言っていた。

「朔、ここはどんな思い出の場所なの?」

「ここはね僕がハナを好きになった場所なんだ」

ズキン。