「あの子って今年で何歳だったかしら?」 「そう言えばあの子ってなんて名前だったのかしら」 「ママ、わんちゃんはいついなくなっちゃったの?」 誰かが投げかけたその疑問に答えられる人は一人もいなかった。 所詮その程度なのだ。 わんこの存在も、死も娯楽の一部でしかない。 命を娯楽にする人たちを見ていると涙は引っ込んだ。 だって、私もあのわんこの名前も知らない。 「そっかー。シュガーもいい歳だったもんね。 そうかぁ」