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「ここが僕とハナが初めて出会った場所だよ」

少しも覚えてない私を連れ出した朔が向かった場所は私が朔に声をかけられたあの神社だった。

深くて静かな冷たい場所。

切り取られたかのような別世界。

なのに害音が響く現実の世界。

「うん。確認だけど、それは数日前の話だよね?」

「違うよ?」

振り返った朔に胸が騒ついた。

それはときめきや高鳴りとは違う、少し不快な騒つきだった。