それでも彼の正体を知りたくて、ホームルームの後で担任の織戸先生を廊下まで追いかけて聞いた。 「先生!」 クラスでは幽霊のようにおとなしい私が、教室から勢いよく駆け出してきたせいか、振り返った先生はちょっと驚いたような表情だった。 「藍沢さん、どうかした?」 「先生、二宮君って子、ウチのクラスにいるんですか?」 すると先生は、『なんだ、そんなことか』という顔になる。 「二宮君ねぇ、今年に入ってから学校へ来てないのよ。膵炎だったかなぁ……。しばらく休学することになってるわ」