(中略)
そして、月曜日。
私が憂鬱な気分で想像していた通り、昼休みに教室に現れたハルはあっという間にクラスメイトたちに囲まれた。
彼が休学する前、まだ一年生だったクラスの女の子たちとハルとは、それほど接点がなかったはずだ。けれど、これだけ目立つルックスだ。下級生として憧れていた女の子は多いだろう。それがいきなリクラスメイトとして教室に現れたのだ。ぐっと近くなった距離に、色めきたっている。
「すごいね」
クラス委員のリコちゃんが遠巻きに見ながら、呆れたように呟いている。彼女でさえ出番がないようだ。
これまでクラスの中では幽霊のようにひっそりと過ごしていた私は、知らない転校生でも見るように、大人しく彼を見ているしかない。
こんな自分を見られるのはイヤだな、と思いながら……。