それから毎朝、保健室に立ち寄り、メモを受けとって、昼休みに本を探す。そして、放課後になると、二宮先生のために借りた本を届けるというルーティーンを続けた。
一週間も経つと、この美人校医と打ち解け、雑談できるようになった。
放課後の保健室で、日誌をつけている二宮先生の横に診察用の丸椅子を移動させ、
「私はあまり読書とかしないから、息子がどんな本を読んでいるのかわからないの」
という彼女のために、過去に彼が借りた本のあらすじや内容を話した。
その頃から、先生は私に小さなプレゼントをくれるようになった。
「これ、いつも本を探してもらってるお礼と言ってはアレなんだけど、私、こんな可愛い柄のハンカチ使わないから、もらってくれると嬉しいわ」
「私、外国のお菓子、苦手なのよ」
そんなふうに色々な理由をつけて。
もらい物だという、それらには大抵、『MADE IN USA』と書かれたシールやタグがついていた。