「え? あなたが?」
二宮先生はキョトンとした顔だった。
「先生がいつも迷いながら本を探してらっしゃるの、見てたから」
不自然な申し出にならないよう、言葉を重ねた。
「そうなの。私、本を見つけるのが苦手で、いつも図書係の人に教えてもらってるの。だから、そうしてもらえると助かるけど、ほんとにいいの?」
校医の仕事は時期によってとても忙しいと聞いたことがある。二宮先生は昼食の後、短時間で本を見つけるのが本当に大変だったのだろう。いいの? と言いざま、パッと顔を輝かせて私の手を握ってきた。
「え、ええ……」
―――こっちが戸惑うほど、簡単に話が進んだ…………。