次の日から、昼休みだけは図書室の真ん中に座って、入り口を見張った。

あ……。来た。

織戸先生が言った通り、校医の二宮先生が図書室に現れた。メモのようなものを片手に、きょろきょろしながら数冊の本を選んでいく。

私は静かに読書するふりをして、先生の横顔を盗み見しながら、どんな男の子なんだろう、とまた彼女の息子の容姿を想像していた。

病気で休学中、そしてどうやら読書が好きそうだ、という数少ない情報から連想するせいか、どうしても弱々しい男の子を思い描いてしまう。

校医の先生に声をかけて息子さんのことを聞いてみることも考えた。けれど、自分の中の彼に対する興味は決して純粋なものではない。自分より不幸な生徒探し……。

それを考えると、とても自分から声をかけるなんてことはできなかった。