あれこれ考えている私に、先生が話を続ける。
「学校に来れない陽輝君の代わりに、二宮先生がお昼休みに本を借りて、放課後、病院へ届けてるみたいよ」
毎日のように図書室に行っているのに、校医の先生が来ているなんて、全く気付かなかった。といっても、いつも一番奥の目立たない席で本の世界に没頭しているから、同じ空間に居ても目に入らなかっただけかも知れない。
病気で学校に来ることができない男子か……。
家に帰ってすぐに『膵炎』という病気を調べた。
慢性と急性があり、若い男性には急性が多いらしい。急性膵炎は治りやすい病気らしいが、今年に入ってからずっと休学していることから察すると、当面は安静にしておかなければならないような病状なのだろう。
病院のベッドの上でつまらなそうにしている、華奢で小柄な青白い顔の男子を想像した。