「うーん……」 また空を見上げながら、シヅキはさっきよりも少し長く考え込む。 それから先ほど見上げた夜空によく似た深い黒の瞳で俺を捉えた。 「手、だして?」 まだあまり言葉なんか交わしてないけど、先輩ふうに言えば慣れた。 シヅキは会話のキャッチボールが下手だ。問いかけに答えずに急に名前を名乗ったり、あまり意味のなさそうなタイミングで考え込んだり。 そしていまは、やはり俺の問いかけには答えず手をだせと言っている。