「凪だ」

宿題を始めた頃、空が帰ってきた。

「空!呼び捨てするんじゃないよ」

「そうだよー。少し前までは凪ちゃん、凪ちゃんって言ってまとわりついてきてたのにー」

「うわ、二人集まると超うぜえ」

軽い反抗期に突入した空は包み隠さず悪態をつく。

「海さん海さん。聞きました?」

「聞きました。空ってばいまうぜえとか言いましたよね」

ついさっき繰り広げたばかりのやりとりを、次は空に向かって繰り返す。

「うざい。凪、早く帰れよ」