まだ口をつけていない缶をシヅキの顔の前に差し出すと、シヅキはほっぺを膨らませて恨めしそうな目を向けてきた。

「知ってるでしょ。私はご飯も食べられないし飲み物だって飲めないの」

「こうやって置いてさ、拝んだら、飲めない?」

「もう!いいから春人が飲んで。干からびるよ」

その拗ねた顔も。

怒った顔も。

恨めしそうな目も。

シヅキの全部を目に焼き付ける。

飲んでと缶を差し出すシヅキからそれを受け取って口の中に流し込むと人工的な甘さが口の中いっぱいに広がった。