※※※ ーなんで避けなかったんだ? 乗り換えた電車の中ですぐに聞いた。 不安だった。 聞かないと、何か言葉を交わしていないとどうしようもなく不安だった。 「言ったでしょ。ちゃんと見て、受け入れたいって」 ーだけど だけどなんだと言うんだ。 シヅキがそうしたいならそうさせるべきだ。 シヅキは前を向こうと頑張っている。 俺が嫌だなんて関係ない。 「だけど、何?」 深い黒の瞳が僅かに揺れた気がした。