「きも」 「きもくない!」 「きもい」 双子の声を聞きながら残っていた味噌汁を一口で飲み込んで、歯を磨くために洗面所に向かう。 「春人は愛されてるね」 「シヅキだってそうだったはずだよ」 「うん」 シヅキが見守るなか歯を磨いて、顔を洗って、気合いを入れる。 顔を上げると鏡に俺の顔と、その横で小さな光が一瞬だけ瞬いた。 今日はきっと長い一日になる。 なんとなく、そう思った。