「シヅキ。どこか行きたいところないか?」 「帰らないの?」 「夜まで帰れないんだ」 「海ちゃんと空くんが待ってるんじゃないの?」 「出掛けようって言ってただろう。だからバイトだって嘘ついてきたんだ」 「いけないんだー」 そう言いながらシヅキの声が僅かに弾む。 「じゃああそこに寄りたい!」 なんで俺はケーキなんか食べてるんだ。 シヅキが寄ろうと言ったのはチェーンのカフェで、なぜか俺はケーキを食べていた。 「美味しい?」 ー甘いな カバンからスマホを取り出して文字を打ち込む。