「シヅキ」

「なあに?」

「成仏する時は、その時は、何か一言言ってからしてくれよ」

相変わらず人のベッドに倒れたまま、だけど深い黒の瞳で俺を捉えながらシヅキが聞いてくる。

「どうして?」

「急にいなくなったら心配する」

「心配する?」

「心配する」

「そっか。分かった。その時は春人に言うね」

「ああ」

なんでかな。

いつか君がここからいなくなるんだと思ったら心配でたまらないんだ。

そこは君にとって居心地のいい場所なのだろうか。

一人ぼっちになってはしまわないだろうか。

心配だ。

だって君は怖がりだから。

幽霊なのに夜道が怖いなんてとても怖がりなんだと思うから。


だから、心配だ。