様々な予感をたっぷりと溶かし込んだ特別な時間。

「いい天気ですよね」

「本当に。

私は雨も好きだけど、雨の後のこの時間も大好きなんです」

「マスターって不思議な人ですよね」

「そうかな?」

「そうですよ。で

も、私はマスターもこの店も大好きです」

「ありがとう」

「テーブル拭き終わったんでメニュー並べてきますね」

彼女は指示を受けることなくテキパキと業務をこなしていく。

私が彼女くらいの歳の時はもっとおどおどとしていて、あんなふうに自分から何かをしたりなんてできなかった。

ゆとり世代だ今時の子はと批難の言葉を聞くことが多いけれど。

どうして彼女たちのほうがよっぽどしっかりしていると思う。