届くなら、あの日見た空をもう一度。


熱中できるものがあるっていいな。

私の話しに短く答えながらも、かなちゃんの手は止まることなく動き続けている。

その横顔は生き生きとしてエネルギーに満ち満ちている。

「ねえ、なんでかなちゃんはそんなに上手に絵が描けるの?

コツとかってあるのかな?」

「何だよいきなり。コツとかはよく分かんない。

でも描くのは好きだからたくさん描いたよ。

何?描くなら紙と鉛筆貸すけど?」

「あ!違うの。ただね、羨ましかっただけ。

絵を描いてる時のかなちゃん、とってもいい顔してるから」