頬ずりしながら同意を求めると、ミケランジェロは小さく「みゃあ」と鳴いた。


「は? み、ミケランジェロ?」


夏木さんが瞬きをしながら首を傾げたので、俺は教えてあげる。


「三毛だからミケランジェロ〜♪」


夏木さんは「あっそ………」と呟いて、ぷっと噴き出した。

夏木さんに笑ってもらえて、心が浮かび上がりそうなほど嬉しくなる。


俺は「あの、さ………」と夏木さんを見つめた。


「―――俺、このクラスになってから、ずっと夏木さんのこと好きだったんだけど」


あぁ、心臓がパンクしそうだ。

でも、今度は、今度こそは、勘違いされないようにはっきり言わなくちゃ。


「………付き合ってくれますか?」


死ぬほどドキドキしながら言うと、夏木さんの顔がさらに赤くなった。


あぁ、ほんと照れ屋さん。


「………う、あぅ、えーと、その話はおいおい………」


夏木さんは小さな声で言って、脱兎のごとく校舎へと駆け出した。


うわぁっ、夏木さん、足はやい!!


「あっ、待ってよ夏木さん!!」


俺はミケランジェロを離して、全速力で追いかけ始めた。


猛スピードでグラウンドを駆け抜ける夏木さんのきれいな背中を見つめながら、俺は思う。


夏木さんはどうやら、俺のこと、絶対に付き合えないほど嫌いってわけでもないらしい。


………よーし、ここからが本当の勝負だ。

がんばるぞー!!

えいえいおー!!







『夏木さんが見てる(照)』