「…………はぁっ!?」


夏木さんの素っ頓狂な叫びが、真っ青な空の下に響き渡った。


シャイな夏木さんの照れっぷりが伝染して、俺まで照れくさくなってしまう。

俺はミケランジェロをぎゅうぎゅうと抱きしめ、赤くなっているであろう顔を隠すように頬ずりをした。


「なんだー、そうなの? 俺、勇気だして思い切って告白したのに、夏木さん変な顔して何も言ってくれなかったからさぁ、俺てっきり、やっぱ脈ないのかなぁ、なんてへこんでたのに」


俺が照れ笑いを浮かべながら言うと、なぜか夏木さんがぽかーんと口を開いて、


「………ちょっとちょっと、待ってよ犬飼くん。あなたがいつ私に告白しました?」


今度は俺がぽかんとする番だ。

俺はしどろもどろに説明を試みる。


「えっ、だから先週、古典で夢の話が出たときに………」

「うんうん」

「俺の夢に夏木さん出てきたって」

「うん、言ってたね………」


こくこくと頷いていた夏木さんが、はたと動きを止めた。

そして、


「………って、ちょお待って、それが告白!?」


またも素っ頓狂な声で叫んだ。

俺は「そうだよ!」と声を張って、一生懸命肯定した。


「待って待って、少し話を整理しよう!」


夏木さんはパニックに陥ったような顔で、俺の腕をつかんで校門の中に俺を引きずりこんだ。