それに反応したのか、ミケランジェロがするりと夏木さんの足に擦り寄った。


「みゃお、夏木さん」


と、にっこり笑って声をかけると、


「………えっ、犬飼くん!?」


と夏木さんが目をまんまるに見開いた。

とってもキュートな表情だ。


「みゃっほー」


俺は照れ隠しのために、手を挙げて夏木さんに挨拶をする。


「…………ななななにしてんのこんなとこで!?」


夏木さんが珍しく混乱した様子で叫ぶと、それに驚いたのか、ミケランジェロがぱっと走り出した。

俺は反射的に手を伸ばし、ミケランジェロを確保した。


「やっと捕まえた~♪」


嬉しさを抑えきれず、俺はミケランジェロに頬ずりをしてしまった。


ぽかんとしている夏木さんに、俺はここまでの経緯を簡単に説明した。


夏木さんは「………はぁ」と気の抜けたような返事をするばかりで、特にコメントもないらしい。

そこで俺はあることに気づいて、


「ってか、夏木さんこそ、こんなとこで何してんの? いま、授業中でしょ?」


と訊ねた。

すると夏木さんはなぜだかがっくりと項垂れてから、きっと俺を睨みつけて、


「………犬飼くんが、勘違いに気づいて、変な気起こしたんじゃないかと思って、慌てて出てきたんじゃん! それなのに、もー、なんなのよ!!」


と怒鳴ったのだから、驚きだ。