「………俺、昨日も、夏木さんの夢見ちゃった」


夏木さんとお付き合いしちゃおうキャンペーンが始まってから一週間ちょっと。


今朝、また夏木さんの夢を見た。


背後に気配を感じて振り返ると、少し離れたところに夏木さんが立っていて。

嬉しくなって手を振ったら、夏木さんがふんわりと笑顔を浮かべて、俺のほうに駆けてくる―――


そんな、幸福すぎる夢だった。

きっと、夏木さんのことが好きすぎて、夏木さんのことを考えながら眠ったから、神様が夏木さんの夢を見せてくれたんだ。


小走りに近づいてくる夏木さん、可愛かったなぁ………。

あぁ悔しい、夢だって分かってたら起きなかったのに。

そしたら、もっと夏木さんの笑顔を見ていられたのに。


でもいいや、俺は、本物の夏木さんに直接会えるんだから。


というわけで、俺は登校するとさっそく夏木さんに夢のことを報告したのだった。

照れくささに頬が熱くなるのを感じながら。


「へっ、へぇ~!? 心当たり全くないんだけどね~!?」


夏木さんがわたわたと焦ったように答える。


ああ、恥ずかしがり屋の夏木さんに、こんなことを言ってしまって、申し訳なかったなぁ。


夏木さんはそのまま、仲良しの吉村さんのところに走って行き、どおんと抱きついた。


あぁ、なんて可愛らしい動きなんだ。

いつか、あれを俺にしてくれたらいいなぁ………。


―――って、なに考えてんの俺!!

なんて破廉恥なっ!!

まだお付き合いも始まっていないのに、そんなこと考えるなんて……!!


―――でも、やっぱり、期待しちゃうよね。

だって、男の子だもん。


―――いやいやいや、だめだめ。

夏木さんのことは大事にするんだ。

本当に好きだからこそ、ね!!


がんばって耐えるぞ、俺!!

えいえいおー!!