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犬飼くんからじっくり事情聴取をした結果。
要約すると、こういうことらしい。
犬飼くんが、「俺の夢に夏木さんが出てきた」と言ったのは、現代のほうの夢の考え方をもとにしたもので。
つまり、「俺は夏木さんのことを夢に見るほど夏木さんのことが好きだ」という告白だったのである。
(自分で解説するのめっちゃ恥ずいわ!)
でも、紛らわしい言い方するもんだから。
あたしは勘違いして、「君は俺の夢に会いに来ちゃうくらい俺のこと好きなんでしょ?」という意味のセリフに解釈してしまったと。
………だって、そう思うじゃん!!
読者の皆様だって、そう思いませんでした!?
思ったでしょ!?
しかも変人犬飼くん相手だから、それくらい変なこと言いかねないと思うし!!
………んもー、なんなのよ、悩んで損したじゃん………。
と、ここまで考えて、あたしは急激に、犬飼くんに対して申し訳なくなってきた。
だって、勝手に勘違いして、犬飼くんのことキモいストーカーだと思って、必死であれこれ作戦立てたりして。
もー、情けないやら申し訳ないやら。
自分が悪いと思ったらすぐに謝りなさい、というまともな教育も受けてきたあたしは、俯いたまま小さく呟いた。
「…………ごめん、犬飼くん……」
それを聞いた瞬間、犬飼くんが絶望的な表情になった。
「俺、やっぱり振られるんだー………」
……………ん?
なんだ、また噛み合ってないっ!!
「ちっ、ちがうちがう、そっちの話じゃなくてー!!」
「えっ、じゃあ、OKしてくれるの!?」
「へっ!? あっ、いや………っ」