「…………あたしで、よければ………」


緊張のあまり、なんだか変な答え方になってしまった。


でも、今井くんは、ほっとしたように満面に笑みを浮かべて、


「ありがと!!」


と言ってくれた。


うわぁ、ほんともう、どうしよ。

めっちゃドキドキする………。

死にそう。


てゆーか、めっちゃ嬉しい………。


だって、今井くんのこと、ずっと好きだったから。

でも、今井くんは人気者だし、私なんか好きになってくれるはずないって思ってたのに。


なんか夢でも見てるみたい………。


恥ずかしさと緊張で、あたしはやっぱり俯いてしまって、今井くんの顔が直視できなかった。


でも、それは今井くんもいっしょみたい。

いつも冷静で穏やかな今井くんが、落ち着かない様子で袖をまくりあげたり、おろしたりしているのが、視界の隅っこに見えるから。


「………かっ、帰ろっか」


と、今井くんが呟くように言ったので、あたしは、


「う、うん………」


と、しどろもどろで頷いた。


あたしたちはぎくしゃくしたまま、自転車を押して歩き出した。