「………あはっ。ごめん、俺ら帰るわ!」


大石くんが、あとの二人を引っ張るようにして、「邪魔したな!」と風のように立ち去っていった。


「……………」

「……………」


残された私たちは、無言ですこし視線をずらしながら向かい合う。


「………あー……」


今井くんが、頭を掻きながら溜め息をついた。


「………あの、そーゆーことだから」


あたしは顔をあげて今井くんを見る。


「………え? そーゆーこと……?」


急展開に頭がついていかず、あたしは間抜けなおうむ返しをしてしまった。


すると今井くんが「あーっ」と叫んで空を仰いだ。

そして、両手でぱんっと自分の頬を叩いて、「よしっ!」と言ってあたしに向き直った。


「…………神山さんのこと、好きだから、付き合ってください」



―――うそ。

信じられない………。


「………び、っくりしたぁ………」


あたしは思わず、正直な心の声を吐露した。

今井くんを見ると、真っ赤な顔をして、ぎゅっと唇を噛み締めている。


「…………」

「…………あの、返事は?」

「あっ、」


あたしはやっと我に返って、そしたら心臓が死ぬほどバクバクいいだした。