登校中。

電車の中で僕は、森下さんとまた一緒に話していた。


 美術館に行った日以来、僕は森下さんと前よりも自然に話せるようになっていた。


ここ最近、森下さんと毎日電車が一緒になる。

会話といえば、たいてい絵本の話だ。


そして、この話をすると、必然的に僕の話もすることになる。

なぜなら、僕と男の子と境遇が似すぎているから。


僕は、初めて試合に出たことを話した。

森下さんは、そのことを喜んでくれた。

結果については、「まだまだこれからだよ」と言ってくれた。


その笑顔に、焦っていた気持ちが少し和らいだ。

これは、森下さんの持つ不思議な力だと思う。