彼女は空を見上げたまま、笑みを浮かべていた。そして、こう言った。 「空はね、神様のキャンバスなんだよ。 神様は、雲とか空の青とかを常に描きかえてるの。 私たちが見てるのは、そんな一枚の大きな絵なんだよ」 僕がへえ、と感嘆の声を漏らすと、 彼女は「今の、お父さんが言ってたことなんだ」とはにかんだ。 確かにそうかもしれない。 それなら相当気まぐれな神様だ。 僕らは、時を忘れて四角く切り取られた空を仰ぎ続けた。