涙をぬぐうこともせずに、僕は枕元に置いていたノートを手に取った。



【だれかの】。


昨日、かおるくんから預かったものだ。


表紙に書かれたこの文字は、僕が書いたものではない。


正確に言えば、僕だけが書いたものではない。


僕はノートを開く。


夢の中ではぼんやりとしていて見えなかった中身。


そこにあったのは、僕のただの落書きではなかった。