「かのちゃんのこと?」

 かおるくんはしばらく首をかしげてから、なにかを思いついたように小さく「あっ」と声を上げた。


「かのちゃんからね、たつき兄ちゃんがきたらつたえてねって」


「えっ! なんて……なんて言ってたの?」


 僕は唾を飲み込み、かおるくんの言葉を待った。


「えっと、やくそくまもれなくてごめんって」


 約束。

それは、公園で会う約束のことか。

ゆびきりをしたことだとすれば、彼女のほうは風邪を治すことだった。


けれどかおるくんに伝言を頼んだ時点で、その約束は守れなくなるとわかっていたということになる。