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「数学の新クラス、ここに貼っとくから見とけよ」
朝礼の最後に先生がそう言って、黒板の端に一枚の紙を磁石でとめた。
この学校では、考査が終わるたびに成績に応じて数学と英語の能力別クラスが新しく編成される。
この前、一学期の期末考査が終わったので、その成績がこの新クラスに反映されていることになる。
貼り出された名簿を見に行くと、前回のβクラスからαクラスに上がっていた。
数学は新入生テストでも中間考査でも平均点ぎりぎりしか取れなかったので、今回の考査前はかなり時間をかけて勉強して、なんとかそれなりの点を取れていた。
だから、もしかしたらαに行けるかもとは思っていたけれど、やっぱり実際にこの目で確かめると嬉しかった。
「あっ、遠子、数学αになったんだね! すごーい、がんばったんだ」
すぐに気づいて遥が私の肩をばしんと叩く。
私は笑って「ありがと」と応えた。
私は他に何も取り柄がないから、せめて勉強だけは頑張りたいと思っていて、努力が報われたのは素直に嬉しかった。
私が勉強を頑張っているのには、もう一つ理由がある。
できれば国公立の大学に行きたい、と考えているのだ。
分不相応だというのは分かっているけれど、この高校の授業に頑張ってついていければ、何とか国公立に受かるかもしれない、と聞いたことがあったから。