ふわふわした気持ちで教室に戻ると、待ち受けていた香奈と菜々美から結果を訊かれた。


「うん、オーケーしてもらえたよ」


遥が恥ずかしそうに笑って答える。


「えーっ、まじで? すごい!」

「やったね、遥!」


二人が遥に抱きつき、髪をかきまわしている。


「二人きりで回るの?」

「あ、ううん。遠子と、もう一人男子も一緒に」

「ああ、そりゃそうか。いきなり二人じゃ気まずいもんね」


頷く菜々美の横で、香奈が私を振り向いた。

私はすっと視線を逸らす。


興奮した様子ではしゃぐ三人を、少し離れた席で教科書の整理をしながら見ていると、遥の携帯が鳴った。


「あっ、彼方くんからだ!」


遥が嬉しそうな声をあげた。

当日の連絡のために、さっき二人は連絡先を交換したのだ。


「明後日よろしくね、だって! わあ、どうしよう! 嬉しい」

「へえ、わざわざそんなメール送ってくるなんて、向こうも乗り気だね」

「ええ、そうなのかなあ?」

「そうだよ、絶対!」


どうしてこんなに頭がぼんやりするんだろう。

しっかりしろ私、と頬を叩いてみた。


「あっ、いいこと思いついた!」


香奈がはしゃいだような声をあげた。