「あっ……トラ!?」



すぐ近くの勝手口から、慌てて外へまわり追いかけるが、塀を越え出て行ってしまったようでその姿はもうない。



どうしよう、トラ普段は家の敷地から外に出ないって言ってたのに。

私のせいだ……早く、探さないと。



身なりを整える余裕すらもなく、適当に履いたサンダルのままの足もとで、急いで家の周りを駆け回る。



トラ、トラっ……!



家の裏や前、近くの細道から少し離れた先の大きな道路。

分かる範囲の場所を汗だくで駆け回り探しても、トラの小さな姿は見えない。



「トラっ……トラー!!」



大きな声をあげてもなにも反応は返って来ず、耳を澄ませてもその声は聞こえてこない。



どれほど探しても見つからないトラに、もしかしたらもう帰ってきているのかも、と微かな希望を抱いて一度家へ帰る。

けれど、家じゅうを探してみても、やはりトラは帰ってきていなかった。



「トラ……」



いない。その事実に、愕然とするように私は居間の入り口でぺたんと座り込む。



トラ、どこに行ったんだろう。

このまま見つからなかったらどうしよう。

どこかで事故に遭っていたら?

怯えて動けないままでいたら?

不慣れな世界で、ひとりきり。



不安から溢れる涙は、ポタ、ポタッ……と床を濡らす。



私のせいなのに、泣くしかできない。

私は、なんて頼りなくて、弱くて、非力で。



私は

私 は