暗闇に落ちていく意識の中

遠くから、電車の音が近づく。

気づけば夢の中で、私はまた線路の上にいた。



大丈夫、怖くないよ

このまま待ってるだけでいい

この世界よりつらいことなんて、きっとないから。



そう自分を安心させながら、ふと顔を上げると、そこにはまた彼がいた。

彼は今もまた、私に向かってなにかを叫んでいる。



聞こえないよ

もういいよ

なのに、どうして

そんなに一生懸命伝えようとしてくれるの?



どうして

どうして、







「……、」



ふと目を覚ますと、そこは薄暗い部屋の中。

かすかに開けたままだった障子から見えた空の色、は夕暮れから夜に変わろうとしていた。



今、何時だろ……。

寝起きでぼーっとする頭で、薄暗い中目を凝らせば、壁にかけられた時計は17時過ぎを指している。



もうこんな時間……1日、寝ちゃった。

今朝、新太と言い合い部屋にこもってから、ぐちゃぐちゃな頭を抱えてうずくまるうちに、気付けば眠ってしまっていたらしい。



半日近くこもりきりで、喉は乾燥しているし、ここ最近の規則正しい生活のせいか、お腹もすいた。

……けど、新太と顔合わせるの、きまずいな。