「……やっぱりあの日、死んじゃえばよかったんだ」



ぽつりと呟いた、たったひと言。

けれどそのひと言に、それまで冷静だった新太の瞳は強く揺れて、握る腕にいっそうの力を込める。



「……死んじゃえばなんて、本気で言ってるの?」



問いかける新太の瞳の奥底には、冷ややかな怒りが見える。

怒ってる。さっきまで分からなかった彼の感情が、今度は確かに、はっきりとわかる。



「死ぬってことが、どんなことかわかってる?自分が、周りがどんな思いをするか、本当に分かってる?」

「っ……うるさいな!!」



そんな新太の腕をふりほどき、荒らげた声は大きく、静かな町中に近所に聞こえてしまいそうなほど響く。



「新太には私の気持ちなんてわからないよ!!皆に否定されて、苦しくて、痛いだけの毎日も……それを誰にも言えないつらさも!!」



どうしてみんな、わかりもしないくせに、綺麗ごとばっかり並べるの。



「死んじゃダメとか、生きろとか、そう言うなら、なんでダメなのか教えてよ!なんで、なんでっ……」



自分の命の終わりを、自分で決めてはいけないの?



じゃあ教えて。

生きる意味を

ラクになる方法を

苦しみからの逃れ方を



教えて、よ