「負担に思ってるなら、手伝いもするから。バイトもして、お金だって入れるし……」
だから、1週間なんて言わないでよ。
そう伝えるように、私は新太の黒いジャージの袖をギュッとにぎる。
けれど、新太が見せたのは、眉を下げ悲しげに目を細めた笑顔。
それは私の幼いわがままに対して向けられたものなのだと、瞬時に理解した。
『私は、ここにいちゃいけない』
1ミリの期待も持たせてくれない、そんな彼の思いが、声になんて出さなくても、伝わってくる。
初めての、新太から感じた“拒絶”だった。
拒まれた。
居心地がいい、なんて感じていたのは私だけ?
新太にとっては迷惑だった?
本当はもう嫌なのかもしれない。私が気づかず自惚れていただけで、新太は私のことなんて邪魔なのかもしれない。
『かもしれない』、そんな言葉が積み重なるうちに、込み上げるのは嫌な記憶ばかり。
……あぁ、また重なる。
今と過去が、連なる。
『邪魔なんだよ。いるだけで迷惑なんだよ』
聞こえないはずの言葉が、聞こえてくる。
どこまでいっても変わらない。
どこでも私は、結局こういう存在でしかいられないんだ。
迷惑、邪魔、いらない、存在。
それらを感じた途端、新太の服を握っていた手からは力が抜け、私はそっと手を離す。