「新太、それなに?」
「今言ったでしょ。なぎさへのプレゼント」
ついていくように縁側へ行くと、新太はその袋を私に手渡した。
これが、プレゼント……?
いったいなにが、と見当もつかず、袋の中を覗き込む。
するとそこには、黒い小さなポットに入った苗がいくつかと、小袋に入った種らしきものが入っていた。
これ……花?
花束でも驚いてしまうけれど、まさか花になる前の形でもらうとは思わず、一瞬固まってしまう。
けれど冷静に考えて、袋を新太に突き返した。
「……いらない」
「って、えぇ!?まさかの受け取り拒否!?」
「もらったところでどうしたらいいかわからないし」
花なんて育てたことないし、園芸が似合うタイプでもない。
これで遊べるのなら、むしろトラの方が有効活用してくれる気がする。
袋ごと返そうとする私に、新太はトラとの戦いをやめ、その小さな体をそっと床におろした。
「なぎさ、おいで」
「へ?」
そして私を手招き、サンダルを履いて庭に出ると、端に置かれた古いプランターを取り出し、その場にしゃがみ込む。