「でも大丈夫!一瞬しか見てないから!本当に!」

「一瞬でも見たんじゃん」

「不可抗力!!」



……けど、新太がこうしてあまりにも普通な態度でいることにも少し落ち込む。

そりゃあ新太みたいに、経験豊富そうな大学生にとっては子供の裸なんてなんとでもないんだろうけど……私ひとり恥ずかしくなってバカみたいだ。

いや、まぁ明らかに意識されても余計恥ずかしいんだけど……複雑。



よくも悪くも変わらない態度が、新太らしいというかなんというか。



「……バカ新太」

「え!?いきなり!?」



八つ当たりのように呟いた私に、新太はへこんだ。

かと思えば、ふとなにかを思い出したかのように「あっ!」と声をあげた。



「そういえば、なぎさにプレゼントがあるんだ。たしか向こうに……」



プレゼント……?

いきなりなにを、と不思議に思う私に、新太がそう縁側のほうへ顔を向けると、そこではなにやら白い袋に頭を突っ込んでいるトラの姿がある。



「って、あー!こらトラー!!それは食べ物じゃない!」

『ニャァーン!』

「鳴いてもダメ!いてっ!」



その光景に急いで袋へ駆け寄り、新太はトラを右手に、袋を左手に持ち、力ずくでトラを引き離す。

遊ぼうとしたところを邪魔されたと感じているのか、トラには爪をたてられパンチをされているけれど。