深津なぎさ、17歳。

高校2年生の私は、ぞくに言う、不登校というやつだ。

学校に行かず、部屋に引きこもりテレビを見るだけの生活を、かれこれ4ヶ月以上続けている。



この部屋で寝て、起きて、食事をして、なんとなく時間を潰す。

部屋を出るのはトイレとお風呂の時くらいだけだ。



ときどき、ほんのときどき外に出ることもある。

けれど、情報収集が趣味な近所のおばさんたちが中途半端に知った情報をもとに勝手なことばかりを言ってきてうるさいから、基本的には出たくない。



こんな私を、叱る人はいない。

医師の母と大学教授の父、忙しい両親は私のことをかまう暇もなく、今日もせっせと仕事に励んでいるからだ。



昔からそう。ふたりにとっては仕事が一番で、家庭や子供なんかは二の次だ。

そんなふたりにとやかく言われる筋合いはないし、向こうもそれを分かってか、なにも言ってこない。

……まぁ、顔を見たくなくて、ふたりが帰ってきても私はこの部屋から出ることはないのだけれど。



高校2年生という大きな時期をこうして過ごす私は、当然もう授業にはついていけないし、出席日数もきっと足りない。

だからじきに退学をして、適当にバイトでもしながら暮らすのだろう。



そんな夢も希望もない未来を想像すると、自然と心は無気力になって、こうしてダラダラとした日々をなんとなく過ごしてばかりいる。



……今日も、日差しがうざい。

ベッドに横になったまま、またそっと目を閉じた。





太陽がのぼったと思えば、あっという間に夜になり、こうして月日は流れていく。

私ひとりが、ここで立ち止まっている間にも。