「はいっ、お疲れ様でしたー!」



ようやくラジオ体操を終え、すがすがしい笑顔を見せた新太。

一方で私は、久々に動かした体がつらく、ヒィヒィと息を上げている。



「つ、疲れた……」

「ラジオ体操って本気でやると結構体にくるんだよー。ま、毎日やってれば慣れるよ」



いたって普通に言う新太に、そうだよね、慣れだよねと納得しそうになって、ふと気付く。



……ん?毎日?

そういえばさっき『早坂家の毎朝恒例』って言ってた気が……。



「ってことはこれ、毎日やるの!?」

「そ。朝から体動かすと目も覚めるしちょうどいいからね!」

「なにそれ……」



ぐっと親指を立てる新太に、余計顔がうんざりと歪む。

そんな日課、いやだ……。



ガックリとする私をよそに、新太はサンダルを脱ぎ縁側にあがる。それに続いて同じようにあがると、床の板はミシッと小さく音を立てた。



ていうかこの家、本当に古い。

いかにも昔ながらの家って感じ。そこの床なんてちょっと穴あいてるし。



なにげなく目にとまった床の小さな穴。木が古いのか、そこだけ拳ほどの大きさの穴が開いてしまっている。

ネズミとかはいってきたらどうするんだろ。虫とか、ゴキブリとか……。

想像してぞわーっとしながら見ていると、突然そこからはぬっと猫の手が飛び出した。



「ぎゃっ!?」



な、なに!?

思わず声をあげると、奥の部屋へ向かおうとしていた新太は不思議そうに戻ってくる。



「なに、どうかした?」

「な、なんか手が……」

「手?あぁ!」