「なぎさ、学校遅刻するわよー!」
「はーい!」
お母さんに呼ばれて、書きかけの手紙を机にしまう。
書き終わったら、次の命日に彼の元へ持っていこうと、そう心に決めて。
開けたままの大きな窓。ベランダには、たくさんの鉢に植えられた花たちが揺れる。
それはあの日、新太の家から貰ってきた花。
『夢の中で新太が、キーホルダーと一緒に庭にあるビオラの花をあげてほしいって言ってたの』
そう言って新太のお母さんが、ビオラと書かれた鉢植えをひとつくれた。
それから3年、私は毎年絶えずその花を植えている。
青空の下、紫色の花を美しく咲かせるビオラの花。
花言葉は『私の胸にはあなたがいる』。
その心に、この心に、いつの日も。
君という花が咲く。
End.