カンカンカン……と、踏切の音が響く。
おりた遮断機の中では、セーラー服の女の子がひとり立ち尽くしている。
靴が片方脱げて、膝には怪我をした彼女は、真っ暗な瞳でその時を待っていた。
電車が近づく音がする。
『危ない、逃げて』そう叫ぶのに声は音に出てくれない。
どんどん、どんどんと近づく電車。
危ないよ、そう思うのに届かない。
思いも手も、なにひとつ。
このまま失われる命を見るなんて、嫌だ。
また俺にはなにも出来ないんだと、自分の無力さを思い知る。
いやだ
待って
届いてほしい
君に、生きてほしい
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