どう、しよう。
そう迷いとともに、かすかに手が震えだす。
すると、そんな震えが伝わってしまったのだろう。腕の中のトラが、私の手をペロッと舐めた。
そんなトラを見て、新太のお母さんは目を細める。
「……その子ね、もう1週間私がご飯上げてるんだけど、全然まともに食べてくれないの」
「え?」
「それどころか触らせてもくれなくて……抱っこなんて絶対無理」
そう、だったんだ……。
そう言われると、確かに少し痩せた気がする。
お腹の部分を触ると、骨の感触が感じられた。
「あれ……でも、『1週間』ってことは、その前の1週間は……?」
新太のお母さんは『1週間』と言ったけれど、新太が亡くなってからは『2週間』が経っているはずだ。
その間はどうしていたのだろうと、純粋に込み上げた疑問をなげかけると、新太のお母さんは小さく首を横に振った。
「それがね、わからないの」
「わからない……?」
「新太が亡くなってから、そういえばおじいちゃんと新太が猫を飼っていたことを思い出して何度かこの家に来てみたんだけどね。この子、少し姿を見せてもすぐどこか行っちゃって。けどそれにしては体もしっかりしてるし毛並も綺麗だったし……誰かにきちんと飼われてたのかしらって」